整ったIT基盤の他に何ができるか、DX学校を受講した社員が自主的に考えるようになった

株式会社ホシケンは北関東で内装材・インテリア商品全般を扱う卸売業を経営しています。創業は1905(明治38)年という、120年の歴史を持つ老舗企業です。2023年9月から4名の方がDX学校の「IT導入士(初級)講座」を受講し、みなさんがIT導入士の資格を認定取得されています。さらに2025年にも追加で3名がこの講座を受講中で、IT導入士を中心に社内のDXを着々と進めていらっしゃいます。DX成功の秘訣をうかがいました。




ITは30年前から導入している
梅崎:DX学校前橋校を運営するナブアシストから、貴社はずいぶん前からITは導入されていたとうかがいました。
星野社長:はい。当社株式会社ホシケンは創業120年の会社で、私は4代目社長です。創業者は私の曽祖父(ひいおじいさん)です。内装会社さんや職人さんから「型番〇〇の壁紙を◯枚と接着剤を◯本、明日の9時の作業開始までに◯◯の現場に届けてくれ」というような注文を受けて指定の時間と場所に自社配送でお届けする、というビジネスをやっています。量がまとまるとメーカーから直送するケースもありますし、当社まで取りに来ていただくこともあります。
私は入社する前に他社で修行してから入社したのですが、その会社は洋服などの卸売業でした。この会社では基幹システムが導入されていて、注文を受けて入力すると、在庫の引き当てから配送の手配、売上の計上までが一気通貫にできるものでした。ところがホシケンに入社してみると、注文を受けると紙の伝票を記入してそれを次に引き継いで在庫を引き当てて、配送の伝票を作って、売上も手作業で伝票を起こしていました。「これではいかん、修行先の会社と同じようなシステムを導入しないとあまりにも非効率だ」と思いまして、システムを作ってくれる会社を探して、ナブアシストに巡り会ったんです。これが、おおよそ30年前、まだWindows 95が出る前で、MS-DOSの時代でした。これに肉付けしていったり、使いやすくしたりして今までずっとこれを使ってきています。
梅崎:なるほど。では、IT導入の基盤は整っていたのですね。




次の世代の人に考えてもらおうと思った
野社長:ホシケンは私と直江専務で経営しているのですが、出来上がっている基幹システムを業務効率の観点から、「もっとこうしたい、ああしたい」と色々と二人で考えながら、ナブアシストにお願いして作り上げてきたんです。
直江専務:ホシケンは2015年に地元の同業の中日産業株式会社と合併したんですが、私はこのとき中日産業からホシケンに入社しました。


星野社長:システムに関しては私と直江専務で考えたものをナブアシストに相談して作ってもらっていたのですが、僕らだけで考えるのもそろそろ限界かな、可能性が広がらないっていうか、という気持ちがありました。僕らがいなくなったとしても、次の世代の人に考えてもらえないかな、と思っていたんですね。そこに「DX学校というのがあります。社内にIT導入、DXの担当者を育成する講座です」という提案を受けたわけです。「それってどうなんかなぁ、そんな簡単なもんじゃないんじゃないかなぁ」と思ったんで、はじめは「おためし」くらいの気持ちで4人お願いしたんです。それで3か月して帰ってきて、システムを考えるのを任せ始めたんです。そうしたら「何か効果があるのかな」というのが見えてきたんです。それで、また今年も、っていうことで、3名の受講をお願いしています。

梅崎:計画を作ったり「これをしたい」という話が出てきたりしたんですか?
戸塚(前橋校 IT導入診断士):初回参加していただいたのは店長さんとかの立場の方々だったんですが、「自分の部署にはこういう悩みがある」という話が授業中に出てきましたね。


梅崎:「こういう問題を解決したい」とかという話は、講師が外部の人だからこそ、しゃべりやすいのかもしれませんね。
戸塚:それで、配送をする人のアルコール・チェックのアプリを授業の中でGoogle Formを使って積極的に作った、ということもありました。
梅崎:何かしらを持ち帰ってきてくれたように社長や専務からは見えたんだと思うんですけど、いかがですか?
星野社長:本人たちにはあえて言わなかったけどね、独特の雰囲気がありましたね。なんか、目の輝きがちがった、というか。
梅崎:講座中に考えて、何か手を打つっていうことをやって「そういうことやっていいんだ」みたいな気持ちになったんですかね?
星野社長:それまでも「それをしちゃいけない」とは言ってないはずなんだけどなぁ(笑)。自分で考えるようになったですね。これまでも私たちや直江専務が気がつかないことに気がついていたかもしれないけど「誰かやってくれないかなぁ……」そんな感じじゃなかったんじゃないかと思います。
直江専務:我々の課題がペーパーレス化とそれにつながる生産性の向上だという認識は共有していたと思うんですけど、それを実現するための具体的な方法のきっかけが、そのDX学校にあった、ということなんじゃないかと思います。DXに対する取り組みって、社長が入社した頃から連続的にやってきているんですけど、特に近年、DXが生産性の向上に寄与するということが、だんだんと社内にも浸透し始めて、より少ない人数でより一層高い成果を加えてあげていく、ということを考えて実行する。そういうきっかけができたんだと思うんですよね。それなので2回目のDX学校に関しても、積極的に取り組んでみようということになりました。

講座受講後にIT導入がどんどん進んでいる
直江専務:講座に参加した2名の女性に今取り組んでもらっているのがLINEを使った受注システムです。これは「CO-NECT」というツールを使って今作っていまして、まもなく公開できると思います。
梅崎:現場にいる職人さんが「これが必要」と思ったときに電話とかファックスとかじゃなくてLINEで注文いただけるっていうイメージなんですか?
星野社長:そうですね。
あと、展示会での受注のデジタル化ですね。ホシケンにとって展示会は重要で、大きな展示会を年に2回、その他にも営業所ごとに小規模な展示会を実施しています。お客様に壁紙だとかカーテンだとかの新商品を実際に手に触れていただいて、メーカーからも説明員に来てもらって使用法や施工法を説明したりして、実際にお買い上げいただく機会なんです。ここでの受注が大変でした。展示会場を借りて行いますからそこには受注端末がないんですね。ノーカーボンの6枚綴りの伝票に一番下まできっちり複写できるように強い筆圧で書いてそれを会場で集計して、その後会社に持って帰って端末に入力していたんです。全ての処理が終わるのは展示会が終わってから2日後とか3日後になってしまっていたんです。そこで、タブレットで受注できるしくみをMicrosoftの「Power Apps」で作りました。まずは小さい展示会でテストをしてみて、高崎市での大きな展示会には万全を期して臨みました。計算すると、これによって61.3時間の業務削減ができました。いまでは担当者が自分で設定の変更とかもできるようになっています。

梅崎:講座を受けていただいた後、その前後でいろんなITツール道具も導入しているということですよね。私が聞いているのが、まずはさきほど講義の中で出来上がったというお話をうかがった配送員のアルコール・チェックのデジタル化、現在取り組んでいるというお話のLINEを使った受注システム、のほかに入金時の消し込み業務をRPA化したこと、営業管理業務のデジタル化、請求書の電子化など、ずいぶんありますね。
直江専務:LINEを使った受注システムでも、請求書とかのデジタル発行もそうなんですけど、どれぐらいお客様に浸透していくかっていうのがまだよくわからないんですよ。今年(2025年)に入って請求書はデジタルで発行できる先にはデジタル化しているんですが、3割くらいのお客様が使っていただけると業務の削減時間って結構のボリュームになるんですよ。
梅崎:LINEなどで発注のところが便利になって「これをきっかけにその後も電子でお願いします」みたいな流れを作っていこうみたいなことなんですね。
直江専務:お客さんに話をしても、案外あっさりと受け入れていただいています。弊社の登録顧客数は2,500件を超えていて、その大半が内装の職人さんで、年齢の高い人も多いんですが、予想していたよりも順調に受け入れていただいています。
今後のホシケン
梅崎:それでは最後に、今後の株式会社ホシケンの展望をお聞かせください。
星野社長:デジタル化はこれからも進めて、業務効率を改善していきます。その上で、今は配送拠点の「デポ」として運営している栃木県の小山の拠点を8つ目の営業所にしていきます。業務効率がアップしたら取扱商品を更に増やしたり、新規顧客の獲得を進めていったりしたいと思っています。
直江専務:世界進出です。現在、前橋市の本部の1階が「紙遊(Shi-You)という店舗になっていて、手漉きの和紙をメインに様々な和紙・紙素材を販売しているのですが、この事業を海外向けのECサイトとして拡充して新たな売上を創っていきます。
既存事業に関しては、現在中期計画を立てているのですが、2029年には年商50億円がねらえるところに来ています。これをきっちり実現させたいですね。
梅崎:ありがとうございました。これからがますます楽しみですね!
株式会社ホシケンのウェブサイト
コーポレート・サイト https://www.hoshiken.com/
創業120周年記念特設サイト https://www.hoshiken.com/120th/
紙遊 https://shi-you.jp/
紙遊英語サイト https://see-u.jp/
DX学校は中小企業を支援する”地域密着型”の学校です
DX学校が選ばれる3つの特徴
① IT人材育成のための誰にでも取得可能な講座
ビジネスに必要なデジタルの知識とスキルを誰でも簡単に習得することができます。世界最先端の知識を盛り込んだオリジナルのカリキュラムと実践型の講義は明日から仕事に生かせるITの活用方法が身につきます。
②計画立案能力とプロジェクト推進力が身に付く
予算やスケジュールを鑑みた計画立案方法とプロジェクトのマネジメント方法を学ぶことができます。正しい業務分析を実行し、適切なIT導入を実現させる力は、業務の効率化を促進し、生産性を向上させ、経費削減を実現します。
③DX学校の講師が最後まであなたに伴走します
DX学校の講師は、IT人材育成のプロフェッショナルであると同時に、IT導入にも精通しています。御社の状況を診断し、適切な課題を設定し、IT導入を通して、経営課題の解決を支援します。
DX学校についてのお問合せ先
DX学校 ウェブサイト:https://dx.school/
連絡先: 0120-659-189 (受付時間:平日 10:00 ~ 17:00)
担当者名:田中
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