【北海道銀行】DX学校の受講で行員394名のITリテラシーを底上げし、中小企業のデジタル化と地域DXを推進

取引先へのDX支援、行内ITリテラシー向上の両軸で取り組み、地域DXを推進

北海道銀行では、取引先や地域のDX推進に向けて、行員394名がDX学校を受講しました。
講座の受講は行内のITリテラシー向上(リスキリング)と取引先へのデジタル化提案に大きく貢献したということです。
今回、DX学校・校長の梅崎健理が、DX学校の受講にまつわる背景やポイント、同行のDXへの取り組みについてインタビューさせていただきました。

[お話を伺った方]
デジタル戦略部 調査役 後藤琢磨様 
人事部 調査役 田中亮太朗様

Q:御社におけるDX推進のお取り組み状況について教えてください。

A:お客様のIT導入支援を中心としたDX支援、また行内でもITリテラシー向上の取り組みを行っています。

当行は北海道全域を中心に銀行業を営んでおり、道外にも仙台、東京などの国内支店、また海外にも出張所を構えています。その中でも、当行でのDX学校受講を推進したデジタル戦略部は、お取引先のお客様のIT導入支援に関わる部署です。具体的には、営業店から集めたお客様からのニーズを汲み取り、本部としてお客様の抱える経営課題からデジタルでカバーできる部分を探してベンダーさんをご紹介するといった、ビジネスマッチングをはじめとしたサポートをしています。

お客様に対するDX推進はデジタル戦略部が担い、行内のDX推進については経営企画の部門が主導で進めている状況です。行内の取り組みとしては、まず行内全体でITリテラシーを高めるところから取り組んでおり、経済産業省による認定試験「ITパスポート」の取得も促進しています。ピラミッドに例えると、まずは最も底の部分を固めてベースアップを図っている状態です。

Q:DX学校を受講いただいたきっかけと受講の感想を教えてください。

A:札幌市の事業で知り、数名でトライアル受講しました。受講は率直に面白く、DX学校の教材がお客様との会話の種にもなりました。

札幌市が2020年に策定した「札幌市ICT活用戦略」の一環として提供している事業に関わった際にDX学校の紹介を受けました。上役に相談したところ、「いいね。費用がかかってもいいから、ぜひ受けて」と回答をもらったこともあり、デジタル戦略部のメンバー数名でトライアル受講しました。

感想としては、面白かったですね。私たちが受講したときに先生になってくださった方は中小企業の社長さんでもあったので、日々の私たちの悩みも交えながらお話が出来ましたし、とてもよい環境で受講できたと思っています。

また、私たちがお取引する企業の担当の方も、DXに関するプロフェッショナルな知識を持っている方ばかりではなくて、「上からの指示でDXを推進しているのですが、あまり詳しくなくて……」という方が大勢いらっしゃるんです。そうしたときに、「実は私たちも近い状況で、DX学校という教材を使っているんですよ」とお話しすると、「何それ?」と興味を持ってくださるお客様がおられましたし、DX学校という教材が“話の種”になってくれる機会も多かったです 。

Q:トライアル後、なぜ行内で広く受講いただける形になったのでしょうか。

A:期待以上に受講効果が高く、DXに関する包括的な知識が身についたこと。また、得た知識を具体的に活用するイメージができました。

デジタル戦略部のメンバーでトライアル受講したところ、DXに関わる包括的な知識をスムーズに身につけることができ、当初の期待以上に受講効果が高い、という実感がありました。これほど効果があるなら、多くの行員に受けてもらったほうが行内のDXを推進するうえでメリットが大きいだろうと考え、人事部に持ち込みディスカッションをスタートしました。

その頃、行内ではITパスポートに関する取り組みがちょうどスタートしており、また人事部内でも行内全体で使えるeラーニングツールを探しており日頃から情報を集めていました。

eラーニングツールのベンダーさんからデモを見せていただく機会も多かったのですが、DX人材育成の全体方針が決まっておりませんでした。そんな状況の中で、内容が専門的過ぎると感じたり、特定の技能に特化しているツールを見て、「どこに活かせばいいのかわからない」と感じたりすることもありました。「まず私たちに必要なDXの知識は何か?」と考えると、データの加工のしかたやプログラミングの知識ではなく、お客様との関わりの中で活用できる包括的なDXの知識だと考えました。DX学校はDXの概要を含めた包括的な知識を身につけられる教材だったため、得た知識をお客様への提案の中で活用するイメージができました。そちらも、行内に受講を広げるうえでよかった点です。

結果として、デジタル戦略部と人事部でディスカションをしていく中で、法人を担当する支店長代理、担当者約400名全員を対象として受講を拡大することが決まりました。

Q:現時点で、受講対象の方のほとんどが受講を完了している、と伺いました。とてもスムーズに受講が進んでいる印象ですが、どのような工夫をされましたか。

A:期間内に好きなタイミングで受講できる形式で、業務の一環として取り組みを推進できていることが理由だと思います。

当行では、DX学校の講座を業務の一環として受けてもらっています。業務時間内に受けてもらうことを徹底したことで、受講がスムーズに進んだと思います。また、全14回を好きなタイミングで受講してもらえる形式にして、教材も、PDFと印刷した紙でそれぞれ配布しています。

受講後の成果を把握するために、受講終了後には社内イントラネットを使ってアンケートを実施していて、各営業店の成績も把握しています。なかには、明らかに成績のよい行員もいて、行内のIT人材の育成を考えるうえで役立っていると感じています。

また定性的にも受講者間で以前よりも掘り下げたDX推進に関する会話ができるようになったと思いますし、実際に各営業店の担当と同伴する際、お客様のITに関する課題を以前よりも各行員自身がよく理解したうえで、デジタル戦略部に連携してきていることも成果として実感しています。

Q:DX学校はどのような課題を抱えている企業におすすめですか。

A:ITやDXに関わる部門がうまく機能していない、また、ツール導入したのにリテラシーが追いついておらず業務の中で使いこなせていない、というような中小企業におすすめです。

IT戦略室など、ITやDXに関わる部門を設けているが、うまく機能していないというタイプの中小企業でしょうか。そもそものITリテラシーが十分ではない、IT化とDX化の区別がついていない、社長の指示でとりあえずツールは導入しているが使いこなせていない、業務の中でどう使っていいか分からない、といった企業はたくさんあると思います。

また、私たちと同業種の信用金庫さんや信用組合さんとの会話でも、DXに関しては“全く手付かず”の金融機関が多く、どのようなツールを導入するべきかと迷っていらっしゃる印象もあります。今後DXに関する議論を進めていくにも行員に知識がないと進められないと思いますので、金融機関の職員はITリテラシーを高めるつもりで積極的に受講してみるのもよいのではないでしょうか。

金融機関によって特色は異なるので、一概に「これを使えばいい」とは言いにくいですが、私たちのように「お客様のDXの導入支援をしたい」というスタンスがある金融機関にはハマる教材だと思いますね。

Q:最後に、銀行業とDXで今後どのような可能性が生まれるか、教えてください。

A:短期ではお客様の選択肢を増やして利便性を増し、中長期ではDXに関する取り組みが地域の人手不足の解消、地域産業の存続などに繋がる可能性があると思います。

短期では、お客様にとっての選択肢が増えることに繋がると思います。ペーパーレスでの取引や、本来なら銀行の窓口に出向いていた手続きを、自宅や事業所で完結できるようになるとは思いますね。すべてをそうしてしまうというよりは、そういう選択肢を設けることができるようになる、というのが近い未来だと思います。

中長期では、例えばメタバースを使ったサービスの展開は、ひとつの方向性としてあり得ると思っています。そういった新たな取り組みが地域の人手不足を解消し、産業を絶やさないようにすることにも繋がるかもしれません。それも、私たちのミッションの一つだと考えています。

最後に、銀行からの視点でお話をすると、銀行の基本的な役割は10年、20年という期間でお客様の成長に寄り添うことです。そう考えたときに、企業がDX推進を図るのは時代の流れですから、その流れに乗って、銀行としてDXに関するコンサルティングができるようになるというのも、これからの銀行業には必要なことだと考えていますし、当行としてもますますDXに力を入れてまいります。

<お客様の企業情報>
会社名 :株式会社北海道銀行
設立    : 1951年3月
頭取    : 兼間 祐二
所在地 : 札幌市中央区大通西4丁目1番地
概要    : 預金業務、貸出業務、為替取引、外国為替業務ほか普通銀行業務全般
URL     : https://www.hokkaidobank.co.jp

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